仕入れ至上主義になっていませんか?

 

建売業界にはびこる悪習のひとつに
仕入れ至上主義があります。
 
とにかく物件は仕入れがすべて。
仕入れが良ければ後はどうにでもなる。
仕入れなければ売上げなし。
そんな風潮です。
 
確かに、仕入れは重要です。
どんな物件を仕入れるかによって
会社の命運が掛かっているといっても
過言ではないでしょう。
 
しかし、そんな考えがエスカレートして
 
仕入れることが重要。
仕入れ担当が一番偉い。
 
となっている会社も少なくありません。
 
そうなると
売上げも社内の関係もいびつになって
きます。
 
売れる現場は売れるけど、
売れない現場はさっぱり売れない。
 
仕入れ担当はその原因を
建築、販売の社員になすりつけ
知らん顔。
 
建築、販売の社員は
こんな物件仕入れやがって・・・
と仕入れ担当者を非難する。
 
それだけならまだいいのですが
そこに給与査定がからんでくると
事態はもっと面倒になります。
 
多くの建売会社が
仕入れ担当者を優遇する給与体系をして
いるからです。
 
こうなると社内はバラバラ。
みんなで一致団結して売り切ろうという
考えはなくなってきます。
 
以前、コンサルティングをしたある建売
会社の社長もその問題で悩んでいました。
 
その会社は従業員7名ほどの会社。
仕入れは主に社長と仕入れ担当の営業3人
で担当しており、残りは建築と販売。
 
抱えていた問題は、
建築、販売担当者たちのモチベーション
が上がらないことでした。
 
建築、販売担当者たちがモチベーション
が上がらないのは次の2つが原因。
 
ひとつは、素人が仕入れするような価格
での仕入れが頻発していること。
 
こんな価格で仕入れるんなら誰でも仕入れ
られる、というのが建築、販売担当の言い分
です。
 
実際、銀行の評価もいつもギリギリ。
無理を言って仕入れているのが実情でした。
 
2つ目は、仕入れ担当者と建築、販売担当
の給与体系の違い。
 
仕入れ担当者は、仕入れた額に対して
コミッションが払われるのに対して、建築
販売担当者はほぼ固定給。
 
売れない現場を頑張って売っても給料は同じ。
それにも関わらず、売れない責任は、建築、
販売担当に回ってくる。それに不満を感じて
いました。
 
そこで実施したのが、給与体系の変更です。
 
仕入れ額に対してコミッションを払っていた
のを、売上げ利益に対してコミッションを
払うように変更しました。
 
もちろん、建築、販売担当者の給与体系も
それに合わせて変更。
 
コミッションではありませんが、
売上げ利益の数%をボーナスとして支払う
よう変更しました。
 
当然、仕入れ担当からは猛反発。
売れても売れなくても仕入れさえできれば
コミッションがもらえていたのですから
面白いはずがありません。
 
しかし、そのままではいずれ会社が危機
を迎えるのも時間の問題。
 
仕入れ担当が想定した売上げ利益で売れた
場合、今までよりコミッションが多くなる
ようにして改革をしたのです。
 
結果はというと
社長をのぞく3人の仕入れ担当者のうち
2人は退社しました。
 
仕入れで残ったのは社長と若い社員の2人。
建築、販売の社員は全員残りました。
 
痛みを伴う改革でしたが、
その後の会社の雰囲気は一変。
 
仕入れと建築、販売のコミュニケーション
が密になり、以前のような殺伐とした雰囲気
はありません。
 
売上げは、
最初こそダメージはありましたが
赤字が大幅に少なくなったため
利益としては変わりませんでした。
 
逆に、仕入れ担当が抜けた危機感が働いて
社長の仕入れ額が大幅にアップ。
 
今期は過去最高の利益を上げているそうです。
 
建売業界は仕入れがすべて。
その言葉は嘘ではありません。
 
しかし、仕入れだけに頼っていては
限界が来るのもまた事実です。
 
大切なのは、
仕入れと建築、販売の三つの柱を整えること。
バランスです。
 
あなたの会社はこの3つのバランスが
取れていますか?
 
どれひとつが欠けても経営は安定しません。

そこのところお忘れなく。