物を売るな、価値を売れとは?


物を売るな、価値を売れ
ということを聞いたことがありますか?

なんとなくわかるような
わからないような難しい概念です。

わかりにくいので
クルマの例で説明しましょう。

ポルシェのディーラーに
営業成績抜群の営業マンがいました。

たくさんいる営業マンのなかでも抜群の
成績を収めている彼。

とはいっても、何か特別な集客手段を
持っているわけではありません。

基本的には、来店するお客様の接客だけ。
他の営業マンと条件は同じ。

それなのに売り上げ成績は桁違い。

理由は、
彼が物ではなく価値を売っていたからです。

他の営業マンは
ポルシェがいかに優れたクルマであるかと
いうことをお客様に伝えていました。

新しいエンジンがどれだけパワフルか、
ブレーキ性能がどれだけ向上したか、等々
クルマのスペックや性能について一生懸命
説明していました。

つまり、クルマそのもの、
「物」を販売していたのです。

それに対して、抜群の営業成績を収める
彼は、クルマの性能についてはほとんど
話しません。

たいてい彼が話すことは、
このクルマに乗ると何が変わるか、

もっと言えば、
このクルマに乗ると人生がどう変わるか
ということを話すのです。

すでにお金持ちで自尊心の高いお客様には、
ポルシェから得られるステイタスを、

女性にもてたい男性には、
モデルのような女性を助手席に乗せて
デートしているイメージを、

成り上がりたい若手経営者には、
成功者への切符としてその存在を売って
いたのです。

実際、彼の顧客は多岐にわたっています。
現金で購入するお金持ちはもちろん、
全額をローンを組んで買うアパート住まいの
人まで、年齢も職種もバラバラ。

ポルシェを物としてではなく、

ステイタスを証明するもの、
女性にモテるためのツール、
成功へ導くきっかけ、
として売っていたのです。

だから抜群の成績を収めることができた
のです。

これは、そのまま建売住宅の販売にも
当てはまります。

家を単なる住むための物として売るか、
その家からどんな変化が生まれるか
という価値として売るかによって、

売り方も、
売る対象も大きく変わってきます。

家を単に住むための物として売れた時代は、
高度経済成長の時代。

住む場所が圧倒的に不足していた時代の
ことです。

今のように家が有り余っている時代には、
家を住むための物として扱っても売れません。

住むための物ではなく、
心の満足を得るための物として売ることが
必要なのです。

家を買うことによって
どんな感情の変化が起きるのか?

その感情の変化は、
あなたをどんな気持ちにさせてくれるのか?

その気持ちが続くと
どんな生活が送れるのか?

そんなことをお客様にイメージさせるのが
価値を売るということです。

それがわかるかわからないかで
商品企画も販売手法も大きく変わってきます。

わからない人は、価格競争へ。
わかる人は、価値競争へ。

価格競争へ進む人は、わずかな利益を奪い合い
価値競争へ進む人は、たっぷり利益を獲得する
ことができます。

さて、あなたはどちらの競争へ進みますか?