お金をかけないでできる差別化とは?


とある建売業者さんをコンサルティング
していた時のこと。

その業者さんが突然、

「お金を掛けないで差別化する方法なんて
 ありませんよね」と質問してきました。

「いえ、ありますよ」と私。

「ホントですか?」

「ホントです」

「でも、大した差別化にはなりませんよね」

「いえ、大きな差別化になります」

「だって、お金を掛けないんですよ」

「そうですね、本代ぐらいは必要ですね。
 だから、まったくゼロというわけでは
 ありませんけど」

「それくらいなら大丈夫です」

「ですよね、だったらお金かけないでも
 差別化できます」

「なんか裏がありそうですね」

「いや、ありません」

「ホントですか?」

「ホントです」

とまあ、こんなつまらないやりとりが
続きました。

この建売業者さんにとって差別化とは、
材料や工法、設備によって商品を差別化
することだという先入観があります。

もちろん、そんな方法で差別化することも
十分可能ですし、一般的にはそんな差別化
のことを差別化と呼んでいます。

しかし、それでは限界がありますし、
差別化の本質を見誤ってしまいます。

実際、私も以前は差別化とは、
材料や工法、設備などによってするものだ
と思っていました。

しかし、コンサルティングをしていると
どうしてもお金が出せないという業者さん
に出会います。

お金は出せない、かけられない、
建物を建てるお金もないから
完成物件も見せられない、
となると嫌でも頭を使うしかありません。

そんな状況になると
見えてくるんです。

差別化の意味が。

本来、差別化とは
同じ条件で他者との違いを出すこと。

条件を変えて差別化することは、
利益を減らすことになったり、
客層を変えることになったりと、
本来の差別化とは違ってきます。

もちろん、価格を変えないで
上質な材料や工法、設備を使えるので
あれば立派な差別化ですが、
なかなか中小の建売業者さんでは難しい
のが現実です。

で、あれば
何で差別化するのが一番簡単かというと、

真っ先に出てくるのが、間取りです。

間取りで差別化しましょう、
と提案すると、大抵の業者さんは
キョトンとした表情をされます。

間取りなんかで差別化にはならないと
考えているからです。

ここが盲点。

多くの人がこんなところでは差別化
できないと考えているポイントにこそ
おいしい結果が待っているのです。

一度、週末に不動産のチラシを集めて
もらうとわかりますが、

建売住宅の間取りは、おもしろいくらい
どこも同じパターン。

実際は、現地にいくと間取りだけでなく
設備や仕様もほとんど同じ。

きっと室内の写真だけを見たら
どこの建売業者の物件か見分けがつかない
でしょう。

それほど、個性がありません。

そんな話をすると、
建売住宅に個性を出したら
売りにくくなりませんか?
といわれますが、

実は、この発想が問題なのです。

建売住宅の間取りをどこも同じにしている
のは、ターゲットを絞っていないことが
原因なのです。

3人家族にも4人家族にも
どんな家族構成の人にも
どんな趣味嗜好の人にも
気に入ってもらえる家をつくろうと
してしまうため、

あたらずさわらずの
八方美人な間取りになってしまうのです。

その結果、できるのは
同じような間取りの建物ばかり。

当然のように価格競争の渦に巻き込まれて
しまうのです。

大切なことは、
この間取りの家に住みたい!と思わせる
ような魅力的な間取りをつくること。

そして、その間取りの家に住むと
どんな生活ができるか、
今の生活のどんな問題が解決されるか
ということを伝えることです。

この2つができれば
お金をかけないで差別化することは
難しくありません。

あなたの作る建売住宅の間取りは
ありふれた間取りになっていませんか?

もう一度、初心に戻って
間取りを見直してみましょう。

隠れた差別化の方法が見えてきますよ。