大手不動産会社を過信してはいけない。


以前、ある建売業者さんをコンサル
ティングしたときのこと。

その建売業者さんは、昔から建物に
は評判のいい業者さんでした。

工務店上がりの建売業者さんで、
どちらかというと職人気質の会社。

施工にうるさいだけでなく、
最新の設備や材料にも詳しく
自社の物件にも積極的に取り入れて
います。

そんな建売業者さんが、
初めて借地の建売住宅に取り組むこ
とになりました。

駅にも近く、閑静な住宅地なのです
が土地は借地。

その分、価格は安いのですが
何しろはじめての経験。

一抹の不安を抱えていました。

ただ、そのエリアでは借地の建売住宅
は珍しいものではありません。

借地の建売住宅もそこそこ見かける
エリア。思い切って取り組むことに
しました。

はじめての借地物件ということもあり
建物にはいつも以上に気合をいれて取
り組みました。

最新の設備はもちろん、
間取りから材料まで、
とても建売住宅とは思えない豪華さ。

プロが見れば、グレードの高さは
一目瞭然。

パワービルダーの建物とは、
ひと味も、ふた味も違う物件です。

販売については、
知り合いの大手不動産会社に
依頼することにしました。

借地ということもあり、
大手不動産会社の看板があれば
お客様も安心して購入できるだろう
という期待を込めて専任を与えたの
です。

しかし、これが裏目に出ました。
さっぱり売れないのです。

そこで知り合いの業者さんを通じて
私にコンサルティングの依頼が来た
のですが、

原因は、大手のチラシを見てひと目
でわかりました。

借地権物件の売り方が全くわかって
いないことです。

通常、借地権というのは所有権と
比べて劣った権利のようなイメージ
があります。

そのため、初めて借地権物件を見た
お客様はそれを不安に思います。

不安になれば、当然、関心を抱かな
くなるわけですから、

まずは、不安をなくすことを考えな
ければなりません。

不安より魅力、
不安だけで好奇心がわくような
チラシをつくらなければなりません。

それがわかっていないと、
ただ単に、借地だから安い!という
チラシになってしまいます。

そうなってしまうと
今度はパワービルダーの物件と
競合するようになってしまいます。

その結果、借地なのにパワービルダ
ーの所有権物件と大して変わらない…
ということなってしまうのです。

大切なことは、
借地だからのメリットをわかりやすく
伝えること。

借地権物件を買うことによって
所有権物件よりなにが得なのか、
どんな生活ができるのかを
わかりやすく伝えることです。

それができなければ
価格競争に巻き込まれていくだけ。

価格競争と借地のダブルパンチで
苦労の割に儲からない現場になって
しまいます。

大手不動産会社といえど
販売能力があるかどうかは別物です。
名前やブランドだけで売れる時代では
ありません。

大手だから安心というのは、お客様よ
り建売業者さんの方が持ちやすい幻想
です。

くれぐれもご注意ください。