過去の成功体験が仇になる。


家具の小売り大手で、ジャスダック上場
の大塚家具。いま、社長の座を巡り骨肉
の争いになっています。

前社長で創業者でもある会長の大塚勝久
氏と、勝久氏の長女で現在の社長の大塚
久美子氏の対立。

創業者で大株主でもある勝久会長は次回
の株主総会で長女の大塚久美子社長の再
解任を求める株主提案を提起しています。

大塚家具を創業した勝久氏の跡を継いで、
久美子氏は2009年に社長に就任しました。

しかし、高級路線、拡大路線を進めてき
た勝久氏と、大衆化に舵を切った久美子
氏の溝は広がります。

久美子氏は去年7月に解任され取締役に
降格されましたが、今年1月の取締役会
で再び社長になりました。

しかし、勝久氏は次回株主総会で社長の
椅子を取り戻し、今回は久美子氏を経営
から完全に排除することを狙っています。

この騒動に対してマスコミやネットでは、
様々な意見が言われていますが、どうも
正確な情報が伝わっていないようです。

ただ数字を見れば、どちらの言い分が正
しいかは一目瞭然。

簡単に説明しましょう。

前社長の勝久氏が社長を務めていた時代
2005年の営業利益は約53億円でした。

その後、営業利益はどんどん減少。
2008年には約12億円にまで減少します。

つまり、前社長の勝久氏の経営方針、
高級路線、拡大路線では2008年時点
ですでに時代遅れになっていたという
ことです。

その後、リーマンショックで
会社は赤字に転落。

そして、
久美子氏が社長に就任して大衆化路線
に舵を切ったことで業績は徐々に回復。
2011年には11億円の営業黒字に成功
したのです。

そもそもこの路線対立は、
2004年に一応の決着がついています。
それが久美子氏の退社、独立。

久美子氏が身を引くことで解決をした
はずの路線対立。

しかし、売上の減少に歯止めがかからず、
再び呼び戻された久美子氏。

こんどこそは、自分の思うような経営
ができると思ったのでしょうが、
そうは問屋がおろさなかった・・・と
いうことでしょう。

まあ、ここまでの泥沼は多くはあり
ませんが、これに似たようなことは
多くの中小企業にもあります。

大抵は、創業者が過去の栄光にしがみ
ついているのが原因。

時代が変わっても昔ながらのやり方を
変えられない。夢よもう一度の経営者
に多く見られます。

成功体験は
薬にも毒にもなる危ないもの。

時代が変われば毒、
時代が変わらなければ自信になります。

大切なことは、
経営者が自己否定できる勇気。

それがなくなったら
潔く後進に道を譲ること。
それが会社を長く発展させるコツです。