長期的に繁栄するため必要なこと。

 

建売住宅にしろ、建築条件付の土地にし
ろ、不動産を購入して転売するビジネス
は、当たれば儲かります。

コツコツ働くのがバカバカしくなるくら
い儲かるのは事実。誰もがその魅力に翻
弄されていきます。

そのせいか、最初は「いい家をつくる
ぞ」という意気込みで参入した業者さん
も次第に意識が変わっていきます。

ひと言でいえば、家が物(商品)に変化
してしまうということ。

そこに住む人が見えなくなってしまうの
です。

そうじゃない、という人もいらっしゃる
でしょうが、そんな人は少数派。

志が高かった人も、同業者を見ているう
ちに、徐々に自分の考えが毒されていき
ます。

そりゃあ、そうです。
大した家でもない物件が、場所がいいか
ら、価格が安いから、タイミングが良か
ったから、という理由だけでバンバン売
れていく様子を見ていると、なんとなく
バカバカしくなるのもわかります。

だったら、自分も仕入れに力を入れよう
安い物件を仕入れられれば、建物はそこ
そこで十分という考えになってしまうの
も無理からぬこと。

その結果、建売業者さんは株を売買する
ように土地を仕入れます。

割安な株を見つけて買い、高値で売る。
株と建売住宅が違うのは、実態のあるも
のを購入していること。そして、そこに
建物という付加価値をつけていること。
そのせいか、お金儲けに罪悪感がなくな
ります。

もちろん、安い土地を探す(割安株を探
す)ということ自体は、企業努力ですか
ら決して間違ってはいません。

むしろ、評価されるべきことでしょう。

しかし、そこにだけ力を注ぐ業者さんが
多いのも事実です。安い土地を仕入れた
らそこで仕事はおしまい。

あとは、いつもどおりの家を建てれば、
誰かが売ってくれる、誰かが買ってくれ
る、と思ってしまいます。

それが、間違いのはじまり。

昔なら、それでも需要が供給を上回る時
代でしたからなんとかなりましたが、今
は逆。家あまりの時代です。

景気が少し変わるだけで、ありふれた物
件は価格競争の波に飲み込まれます。

そうなると、売れない。
売れても、儲からない。

そして何より問題なのは、どんな家をつ
くれば売れるのか、ということがわから
なくなっていることです。

人はなぜ家を買うのか?
人は家に何を求めているのか?
あなたのつくる家は、お客様が求めてい
るものを満たしているのか?

ということを常に考えて家づくりをしな
い限り、ただ単に、マネーゲームのよう
に土地を仕入れていても、長続きする会
社にはなりません。

建売業者にとって必要なのは、安い土
地を見分ける能力ではありません。

その土地にどんな建物を建てれば、どん
なお客様が買ってくれるかイメージでき
る能力です。

そして自分のイメージと実際に購入した
人が合っているかどうか。その確率を上
げることです。

そうすれば、安いかどうかに関わらず、
どんな土地でも売ることができるように
なります。

つまり、景気に左右されなくなる。

建売業者が長期的に繁栄するには、安い
土地でも高い土地でも売れるような会社
になること。

そのためには、お客様が見えているかど
うかが大切です。買うのは人です。人が
見えていないと、いつか痛い思いをしま
すよ。