なぜ大手不動産会社は予告広告するのか?


ある開発現場の話。
その現場は、全部で12区画の開発現
場。地元の建売業者さんが大手パワービ
ルダーとの競合の末、やっとの思いで仕
入れた土地でした。

そのため、
場所はいいのですが、価格は高め。
売れるかどうか、微妙な土地です。

ただ、仲介業者からすると規模もまとま
っており見栄えのする物件。

土地を仕入れた途端、いろんな業者から
売らせて欲しいと連絡がありました。

それに気を良くしたのが仕入れ担当者。
連絡してくる仲介業者と話をすればする
ほど、売れるという確信が高まります。

その結果、仕入れ担当者が下した結論は
建物が完成してから販売するという方法
でした。

つまり、青田では売らないということ。
建物が完成し、現場がきれいになってか
らの方がお客様の購買意欲が高まるとい
う判断です。

結果的に、土地を購入してから正式発売
までに8ヶ月の時間が経過しました。

その間も、仲介業者からの問い合わせは
絶えません。そのせいか、仲介業者から
の問い合わせがあればあるほど、担当者
の、この物件は売れるという予感は確信
に変わっていきます。

知り合いの業者からもあの現場ならすぐ
に売れると太鼓判を押されていたことも
あり、発売前から即日完売したような気
分。

そして、
意気揚々と発売日を迎えました。

結果は、というと
発売から3ヶ月を経過しましたが売れた
のはわずかに1棟だけ。

散々な結果になってしまいました。

あれだけ問い合わせのあった業者も
なしのつぶて。太鼓判を押していた知り
合いの業者も知らん顔。

まあ、仲介業者の言葉を真に受けたのが
失敗の原因なのですが、これはよくある
ことです。

正直、私自身はこの結果を予想していま

した。そのため、青田の段階でも販売
るよう何度もアドバイスをしたのです
が、売れると確信している彼にはその言
葉は届きませんでした。

売れるという希望を吹き込んだ仲介業者
が悪いわけではありません。実際、その
時には買ってくれそうなお客様がいたの
かもしれません。

しかし、8ヶ月は長すぎます。
経済状況も変われば、お客様の状況も変
わります。欲しい時が買い時ですから
売れるのであればすぐに売らないとチャ
ンスは逃げてしまいます。

それほどお客様の関心を引き止めること
は簡単ではないのです。

実際、大手不動産会社などは予告広告に
多額の費用をかけて正式発売できるまで
お客様の興味を引き止めています。

そして、お客様の興味が最大になったと
ころで正式発売開始。だから、一気に売
れるのです。

建物が完成してから販売すること自体は
間違いではありません。

しかし、そのためには建物が完成するま
でお客様の興味を引き続けることが大切
になってきます。

広告や販売図面、ホームページなどを利
用してお客様の期待感を膨らませる。
その努力が必要になってくるのです。

あなたの物件はお客様の興味を引き続け
ていますか?

時間のかかる開発現場はここがポイント
です。その努力を怠ると痛いしっぺ返し
がきます。お気をつけください。