売れない完成物件の売り方。


以前、コンサルティングをした建売業者
さんの話。

その建売業者さん、昔はかなり羽振りが
良かったのですが、最近はすっかり昔の
面影はありません。

4棟現場なのに1棟も売れていないとい
うのも珍しくない状態。

そんな状態ですから、仕入れも思うよう
にできません。はっきり言えば、仕入れ
担当は開店休業状態。

今の在庫が売れない限り、これ以上仕入
れはできません。

では、さぞかし販売に力を入れていると
思いきや、人間は不思議な動物です。

販売は仲介業者任せ。
自分たちは相変わらず仕入れもできない
のに、仕入れ物件はないかと業者を回っ
ているのです。

冷静に考えれば、自分たちがナンセンス
な行動をとっていることはわかるはずな
のですが、それができないのが人間。

誰かが声を上げなければいけないのです
が、社長も含めて誰も声を上げません。

相変わらず今まで通りの日常を過ごして
しまうのです。

実は、そんな会社は少なくありません。
たいていの会社は、よほどの危険が来て
も自分たちの仕事のスタイルを変えよう
とはしません。

倒産が目の前という状態になってもそれ
は同じ。それほど人間の習慣とは強固な
ものなのです。

だから、仕入れをしている人に、今は仕
入れしている状態じゃないから売って
くださいと言っても聞いてはくれません。

そのうち売れるから、という言葉で片付
けられるのがオチです。

そんな仕入れ担当者に自然に営業に入っ
てもらう方法があります。

それが、物件掃除です。

週末(土日)にそれぞれが担当している
物件の掃除をしてもらう方法です。

この会社の場合は、完成物件がたくさん
ありましたから完成物件の掃除をしても
らいました。

週末は仕入れ担当者がそれぞれの物件を
すみからすみまで掃除する。

窓を開けて、空気を入れ替えて、バケツ
を持って徹底的に磨く。

玄関や外回りも雑草ひとつ生えていない
状態になるまで掃除する。

これを繰り返します。

当然、最初は反発されますが、そこは我
慢、習慣になるまで繰り返します。

そうすると不思議なことに、担当者自身
に物件に対する愛着が湧いてきて、自然
と来場したお客様を営業できるようにな
るのです。

もちろん営業と言っても、お客様の質問
に答える程度。実はそれで十分。むしろ
その方が売れます。

なぜなら、言葉以上に物件が物語ってい
るから。他社の物件と比べて明らかにキ
レイな物件が勝手に営業してくれている
からです。

だから、後はお客様の疑問にやさしく答
えてあげるだけ。それだけで勝手に売れ
ていきます。

嘘だと思うあなた、一度やってみてくだ
さい。ビックリするほど効果あります。

お金も、営業スキルも必要ありません。
他社よりダントツにキレイなだけで売れ
ていきます。商売って不思議ですよ。