なぜターゲットを絞る必要があるのか?


ある建売住宅の話。
その現場は全部で10区画の開発分譲地
でした。

土地を取得してから建物が完成するまで
約9ヶ月、私が相談を受けたのはその3
ヶ月後。かれこれその事業がはじまって
から1年が経過していました。

自信満々で購入した現場だったのですが
1年経って売れたのは5区画だけ。まだ
まだ採算ラインには乗りません。

なんとかならないだろうか、というご相
談だったのですが、

こちらの見解を述べる前に、売主さんに
なぜ売れないのですか?という質問をし
てみました。

すると、出て来た答えが、
それがわからない・・・という答えだっ
たのです。

場所もいい
価格も妥当だと思う
施工業者も問題ない
それなのに売れない・・・
だから手の打ちようがないというのが売
主さんの悩みなのですが、

では、どんなお客様を想定してつくった
のですか?と質問してみると、

一次取得者、
という漠然とした答え。

もっと詳しく聞いてみると、
建物は施工業者に任せたから、よくわか
らないという本音が出て来ました。

こうやって文字に起こすと
なんともいい加減な建売業者さんと思い
ますが、実はこんな業者さんは少数派で
はありません。

むしろ、ほとんどの建売業者さんがこん
な感じ。程度の違いはありますが、ター
ゲットを明確にしていないのがほとんど
です。

そもそも一次取得者というのはターゲッ
トではありません。

単なる、便宜的な属性。
一次取得者にも色んな人がいます。

その中のどんな人に向けて家をつくる
か、それによって、売れ行きは大きく変
わってきます。

こんな話をするといつもでてくる反論は
建売住宅なんだからターゲットを絞りす
ぎると売れない、という反論です。

要するに、ターゲット仕様にするとそう
じゃないお客様には売れなくなってしま
うということ。

リスクが増えるからターゲットはあまり
絞らない方がいいという考え方です。

確かに、これも一理あります。
実際、社長が勝手にターゲットを絞って
建てたらとんでもない家になった・・・
という現場を何度も見てきました。

だから、これは間違いではありません。
でも、正解でもありません。

正解は、根拠に基づいてターゲットを絞
ること。

自分の憶測でターゲットを絞るのではな
く、お客様の声や最近の住宅購入者のト
レンドを把握してターゲットを絞ること
です。そして、それを建物に反映させる
ことです。

その上で、ターゲットに向けて広告を展
開する。そして反応を見る。

どこの誰に、どんな生活をして欲しくて
その家を建てたのかを熱心に伝えること
です。

それをしない限り、売れない本当の理由
はわかりません。

売主の思いを伝える、
その思いについての率直な意見を聞く。

その過程ではじめて売れない理由、
お客様が購入しない理由がわかるので
す。

それさえわかれば
あとの対応は簡単。

改良するか、改良できなければお客様が
価値を感じるまで価格を下げるか、
どちらかです。

そして何より大切なことは、
それによって同じ過ちを繰り返さなくな
るということです。

失敗が次への成功につながることです。

あなたはちゃんとターゲットを絞ってい
ますか?

ターゲットにあなたのメッセージは届い
ていますか?

これ、とっても重要です。