以前、コンサルティングをした現場の話。
その現場は、総戸数４棟の新築現場。
閑静な住宅地にある建売住宅です。
場所的には決して悪くはない場所。
駅からも近く、日当たりや住環境も申し分
ありません。
そのせいか、社長も担当者も強気でした。
完成前から問い合わせも多かったことから
即日完売に近い状態で売れると踏んでいたの
です。
しかし、現実は思惑通りにはいきません。
蓋を開けてみると、さっぱり。
三ヶ月経っても、
半年経っても状況は変わらず。
さすがに強気だった社長も青ざめて相談にい
らしたのです。
この物件が売れない理由はいろいろありまし
た。最大の理由は、場所はいいけど価格が高
いという問題。
そのため、仲介業者が積極的にお客様に紹介
してくれないのです。
もちろん、最初はそうではありませんでし
た。物件を取得した頃はどこから嗅ぎつけて
きたのか、いろんな業者が広告をさせて欲し
いと言ってきました。
しかし、当時は未公開物件で売れるだろうと
思っていたため全て広告を拒否していたので
す。
そのため情報は一部の懇意にしている業者に
しか渡していなかったのです。
それが結果として仇（あだ）になりました。
売ってくれるだろうと思って情報を出してい
た業者では客付けできなかったのです。
そこで仕方なく専任で販売してくれる業者を
見つけて販売活動をはじめたのですが、その
広告宣伝費に驚きました。
新しい仲介業者が提案してきた広告宣伝費が
バカにならないのです。
ちなみに彼らが提案してきた広告宣伝費は、
１回あたり、約10万円。
３棟売るのに最低でも100万円はかかるとい
うものです。
ちなみにこれはあくまで予測。
100万円かけても１棟も売れない可能性も
あります。
広告宣伝費の内訳は、
チラシとインターネット広告。
チラシの印刷料が１枚あたり B４で＠3.7円
折り込みコストが ＠4.6円
ポスティングコストが ＠7.2円
制作費（両面）が 100,000円
ざっと見積もっても
１万枚のチラシを新聞折込みまたはポスティ
ングで配布すると１回あたり100,000円は
かかる計算になります。
ただし、それで集客できる見込み客はよくて
１人。（１万枚のチラシで１人集客できるの
はかなりハイレベルのチラシです）
仮に、見込み客10人で１人成約になるとする
と、100,000円X10回の配布（総額100万
円）が必要になります。
つまり、自社でゼロから広告してお客様を
集客するのはお金も体力もかかるというこ
と。
だから、広告宣伝してくれるという業者がい
れば喜んで許可を出すことが大切なんです。
自社の代わりに、仲介業者がお金を払って
あなたの物件の広告活動をしてくれるという
のはありがたいこと。
それをよく理解しておきましょう。
そうでなければ、売れなくなったら自社でそ
の費用を全額負担するか、それ以上のお金を
値下げするしか売り切る方法がなくなってし
まいます。
何が何でも広告不可という考えは
そろそろ改めた方がいいかもしれません。
じっくり考えてみてください。