常識を破れ!


あるクライアントさんからの紹介でコンサル

ティングをすることになった建売業者さん。


業歴は30年近くになるベテランの社長さんで

昔はかなり羽振りが良かったらしい。


但し、今はなんとかやっている状態。

昔のように完成前に完売、というのはもう

何年も経験していないと言います。


そんな社長の悩みは、ある4棟現場。

完成して半年も経つのに1棟しか売れていな

いとのこと。どうしたらいいでしょう?

という相談です。


建物は、フツーの建物。

可もなく不可もないという建物。


まあ、売れない物件に共通するのは

建物にコンセプトがないこと。


ただ、土地を仕入れて、いつもの設計士に頼

んでプランを入れているだけ。この物件も、

そんな物件のひとつ。


どこの誰が、どんな理由でその物件を購入す

るのか、というストーリーが見えてこない。


工場で生み出される大量生産の工業製品のよ

うな建売住宅です。


正直、これでは苦戦するのは当たり前。

勝負は建てる前に決まっています。


とはいえ、なんとかしなくてはならないので

知恵を働かせるのですが、大体パターンは決

まっています。


まず最初に聞くのは、販売方法。

どうやって販売しているのかを確認します。


するとこの社長から出てきた答えは、

知り合いの仲介業者に任せているという返

事。昔から仲介は知り合いの仲介業者数社に

任せているだけだと言います。


どうしてですか?と聞くと

仲間だから、とのこと。


仲のいい業者だけで情報を回すのが

慣例だと言います。


もちろん、それ自体は問題ありませんが、

売れなくて困っている今もそれでは芸があり

ません。


土地を仕入れてからかれこれ1年。

仲間内で売れないのなら他の手を考えないと

自滅するだけです。


そこで提案するのが、広告掲載可にするこ

と。まず、他業者への広告掲載を可能にする

ように頼みます。


通常、仲間内で販売を任せるケースは他業者

の広告掲載は不可。これが足を引っ張ってい

ます。


広告掲載可にすることは、お金をかけないで

売るための第一歩なのですが、業歴の長い建

売業者さんは、ほとんどが拒否反応を示しま

す。売れてないというのを世間に公表するよ

うでプライドが許さないのです。


ここが最初の勝負の分かれ目。

プライドを取るか、チャンスに賭けるか。


この社長さんの場合は、背に腹は変えられず

渋々、チャンスに賭けました。


結果は、というと

残り3棟のうち2棟がすぐに売れました。

それも新規の仲介業者さんばかり。


挙げ句の果てには、購入したお客様は地元で

はない人。どちらもインターネットで問い合

わせのあった遠方のお客様でした。


偶然もこれだけ重なると、

社長も広告の必要性を実感。


仲間だけに情報を公開する期間と、

情報をオープンにして多くの業者を利用する

期間を分けて考えることに同意してもらえま

した。


広告掲載不可は建売業界の常識ではありませ

ん。むしろ他業界から見れば非常識な慣習。


これを見直すだけで、

他者より頭一つ抜け出すことができます。


勇気を出してチャレンジしてみましょう。

意外な結果が待っているかもしれませんよ。