弱い土地の売り方。


完璧な建売用地というのは少ない。

いい土地は高いし、安い土地は何かある。


それをどう料理するか、

それが建売業者の腕の見せどころです。


先日もある激戦区で建売用地が出ました。

地形も道路付きもいい土地ですが、

難点は線路脇。


南側、3m先に、ある私鉄の線路が通ってい

るのです。駅へは徒歩2分くらいの場所なの

で電車が全速力で走るということはありませ

んが、踏切も近くにあり、騒音は否めませ

ん。


駅近ということで、線路脇ですが価格も決し

て安いわけではありません。


本来はアパート用地なのでしょうが、アパー

トにするには価格が高く、利回りは見込めま

せん。


どこが買うのだろう?と思っていたところ、

ある建売業者さんが購入しました。


購入したのは地元ではそこそこの規模で建売

住宅を展開している会社。激戦区内ですでに

販売している現場もあり、自信があったので

しょう。すぐに購入を決めたようです。


もっともこの会社は、自社で営業マンを多数

抱えている会社。もともとは仲介をメインに

やっていた会社ですから、販売力には自信が

あったのだと思います。


実際、かなりのお金をかけて広告展開してお

り、苦戦するだろうと思われていたような場

所も売り切ってきました。


今回はどんな形で販売するのだろう?と興味

津々で見ていたのですが、さすがに売れてい

る会社は違います。普通の会社がやらない戦

略をやってきました。


その戦略は、地域最高値戦略。


そのエリアでもっとも高い価格帯で売り出し

てきたのです。


通常、土地に弱点がある場合、多くの業者さ

んは安く販売することを考えます。


弱点を価格でカバーするというやり方です。

これはこれで間違いではないのですが、建物

にお金をかけられないため、弱みが2倍にな

って物件に降りかかってきます。


そのため、相当安くしないと売れないのが現

実。パワービルダーのような安く建てる技術

を持つ会社でないと思ったような利益は出ま

せん。


今回の場合は、その逆。

土地の弱みを建物でカバーするというやり方

です。


実際、その会社が通常建てる仕様ではなく

有名な建築会社にプロデュースを依頼して建

てているようです。


私も現地を見ましたが、かなりの出来栄え。

線路脇というデメリットを完全に払拭してい

ました。


中小の建売業者にとって、難点を価格でカバ

ーするのは、よほど安く土地が買えた時か、

安く建てる技術を持っている場合しかできま

せん。


つまり、得策ではないということ。


中小の建売業者は、価格より商品力で勝負し

ましょう。その方が売れる確率は高くなりま

す。