売れないのは本当に価格のせいですか?


売れないのは価格のせい。


すぐにそんな結論に至る建売業者さんが

後を絶ちません。


そんな建売業者さんに考えて欲しい事例があ

ります。それがグリコ乳業の「カフェゼリー

の復活劇」。


グリコ乳業の「カフェゼリー」が6月の刷新

以降、ファンを増やしているといいます。


1979年発売のロングセラーですが思い切

った刷新を後押ししたのは、担当者が集めた

お客様の声でした。


カフェゼリーはコーヒーの風味とミルクの甘

味、ゼリーのみずみずしさが特徴。発売時の

価格は150円で、当時のデザート菓子とし

ては高価格でした。


コーヒー豆はブルーマウンテンを使い、風味

を生かすため自社工場で豆を焙煎(ばいせ

ん)するほどのこだわり。この高級感が主婦

層を中心に支持を得ました。


しかし、2000年代に入り伸び悩むこと

に。そこで価格を100円に下げ、価格競争

に打って出たのです。


しかし、売り上げは伸びませんでした。


低価格を維持するため、ゼリーのみずみずし

さは残しましたが、豆はインスタントタイプ

に切り替えコーヒーの風味が落ちたのも原因

の一つです。


そんな低迷が続くブランドの再起を託された

のがマーケティング本部。


カフェゼリーの特徴は何か?

消費者は何を求めているのか・・・。


答えを求めて価格を下げた2000年代の

刷新前の味を知る消費者の声を集めました。


刷新前の商品を知る消費者は50歳代以上が

多いため、知人の父が所属する草野球のチー

ムに出向いて話を聞いたといいます。また、

陶芸教室にも顔を出し、バイヤーにも話を聞

きました。


そこで集まった声は、

「自分へのご褒美で食べていた」

「家事が一段落したときに、

 こっそり食べていた」という声。


消費者がカフェゼリーに求めているのは

安さではない。ぜいたくな気分が味わえ、

自分の時間を楽しむことのできる商品だった

のです。


そこで、みずみずしさを生かしながらも

コーヒーの香りを前面に出す商品を開発。

 

品質を上げるため価格も上げました。

社内では「値段を高くして本当に売れるの

か」という疑問の声も上がりましたが、

集めた消費者の声をもとに価格勝負をする

必要はないと社内を説得。


今回のリニューアルで質を上げると同時に

価格を1・5倍にしたものの、リニューアル

後2カ月の販売数量は前年同期を約5%上回

る売上を達成。


消費者からは「昔を思い出した」といった声

が多数寄せられているといいます。


販売が低迷するのには理由があります。

価格が原因のこともあるでしょう。


しかし、すべてを価格のせいにしては本当の

原因は見えなくなってしまいます。


本当の原因が見えなければ、同じ過ちを繰り

返すということ。どれだけ売っても経営は

不安定なままです。


大切なことは、常にお客様の声を聞くこと。

作り手であるあなたがお客様の声を聞くこと

です。


お客様が求めるものと、売主が提供するもの

が合致してはじめて、売れる商品は生まれま

す。そこのところ、くれぐれもお忘れなく。