商人の鑑が書く文章。

 

突然ですが、和菓子は好きですか?

 

私は、母親が自宅でお茶を教えていた関係で

小さな頃から和菓子を食べる機会がたくさん

ありました。

 

そのせいか、今でも和菓子は大好き。

お正月にも実家で美味しい和菓子をたくさん

食べてきました。

 

そんな私の大好きな和菓子ですが、和菓子屋

さんにもいろんなお店があります。

 

田舎町の小さな和菓子屋さんから、デパート

に進出しているような全国規模の和菓子屋さ

んまで、大小様々な和菓子屋さんがあるので

すが、最も知名度の高い和菓子屋さんといえ

ばやはり「虎屋」さんではないでしょうか。

 

日本全国に80店を展開し、パリにもお店があ

るようです。

 

そんな「虎屋」さんが昨年本社ビルの建て替

えに伴い、赤坂本店の営業を一時休止しまし

た。それ自体は、珍しくないのですが、休業

に当たって社長がホームページに記載した挨

拶文が話題になっています。

 

建売業界の人にも参考になる挨拶文ですから

みなさんにもご紹介したいと思います。

 

以下、虎屋のHPより引用

 

赤坂本店、および虎屋菓寮 赤坂本店は、10

月7日をもって休業いたします。

 

室町時代後期に京都で創業し、御所御用を勤

めてきた虎屋は、明 治2年(1869)、東京と

いう全く新しい土地で仕事を始める決断をし

ました。赤坂の地に初めて店を構えたのは明

治12年(1879)。明治28年 (1895)には現在

東京工場がある地に移り、製造所と店舗を設

けました。

 

昭和7年(1932)に青山通りで新築した店舗は

城郭を 思わせるデザインでしたが、昭和39

年(1964)、東京オリンピック開催に伴う道

路拡張工事のため、斜向かいにあたる現在地

へ移転いたしました。

 

「行灯 (あんどん)」をビルのモチーフと

し、それを灯すように建物全体をライトアッ

プしていた時期もありました。周囲にはまだ

高いビルが少なかった時代で、当時 大学生

だった私は、赤坂の地にぽっと現れた大きな

灯りに心をはずませたことを思い出します。

 

この店でお客様をお迎えした51年のあいだ、

多くの素晴らしい出逢いに恵まれました。

 

三日にあげずご来店くださり、きまってお汁

粉を召し上がる男性のお客様。

 

毎朝お母さまとご一緒に小形羊羹を1つお買

い求めくださっていた、当時幼稚園生でいら

したお客様。ある時おひとりでお見えになっ

たので、心配になった店員が外へ出てみる

と、お母さまがこっそり隠れて見守っていら

っしゃったということもありました。

 

車椅子でご来店くださっていた、100歳にな

られる女性のお客様。入院生活に入られてか

らはご家族が生菓子や干菓子をお買い求めく

ださいました。お食事ができなくなられてか

らも、弊社の干菓子をくずしながらお召し上

がりになったと伺っています。

 

このようにお客様とともに過ごさせて頂いた

時間をここに書き尽くすことは到底できませ

んが、おひとりおひとりのお姿は、強く私た

ちの心に焼き付いています。

 

3年後にできる新しいビルは、ゆっくりお過

ごしになる方、お急ぎの方、外国の方などあ

らゆるお客様にとって、さらにお使い頂きや

すいものとなるよう考えています。

 

新たな店でもたくさんの方々との出逢いを楽

しみにしつつ、これまでのご愛顧に心より御

礼申し上げます。ありがとうございました。

 

   虎屋17代 代表取締役社長 黒川光博

 

あなたならホームページにこんな言葉が書か

れていたらこのお店で買ってみたいと思いま

せんか?

 

建売住宅の販売もまさにこれと同じこと。

私なら、こんな挨拶文が書ける建売業者さん

から購入したいと思います。