「ウタマロ石けん」をご存知ですか？
小さなお子さんをお持ちの方ならご存知の方
もいらっしゃるかもしれませんが、ほとんど
の人は知らない石けんです。
「ウタマロ石けん」は大阪市生野区にある社
員41名（正社員31名・パート社員10名）の
小さな石鹸製造会社がつくる商品。この会社
の唯一と言っていいヒット商品です。
「ウタマロ石けん」の価格は１個100円前
後。部分洗い用の洗濯石けんで、緑色をして
いるのが特徴です。
販売開始は、1957年。もう直ぐ60周年を迎
えるロングセラー商品です。
そんな「ウタマロ石けん」の売上が急上昇し
ています。どれだけ伸びたのか？というと、
ここ10年でなんと売上6倍。
大手のナショナルブランドがひしめく洗剤業
界で、販売後60年を迎えようとしている小さ
な会社の商品が売上6倍。テレビドラマに出
てくるような、奇跡の快進撃を続けているの
です。
商品自体は、言葉は悪いですが、ありふれた
石けん。色々とこだわりや特徴はあるのです
が差別化の難しい商品です。
その上、従業員40人余りの小さな会社ですか
ら潤沢な広告宣伝費もありません。
にもかかわらず、10年で売上を6倍に伸ばし
たわけですからその戦術は参考になります。
具体的にどうしたか？ということですが、
戦術はいたってシンプル。
自社の強みをターゲットにコツコツ伝えただ
けです。
ウタマロ石けんの強みは以下の３つ。
1．ガンコな汚れが簡単＆キレイに落ちる
靴下やユニフォームについた泥汚れ、Yシャ
ツのエリ・ソデ汚れ、普段着についた化粧品
汚れ、食べこぼし汚れなどに強い。
2．白がいっそう白くなる
通常の洗濯で失われていく衣服の白さを取り
戻すために蛍光増白剤を配合。
3．手肌に優しい
界面活性剤が入っていないので肌が弱くても
安心して使える。
この強みを一番必要としているターゲット
・ガンコな汚れに悩まされている方（20代か
ら40代の主婦層）
・スポーツをしているお子様をお持ちのお母
さん
に訴えただけです。
訴え方は、試供品の配布という方法。
ホームセンターやドラッグストアなどの店頭
での配布はもちろん、幼稚園などでも配布し
てウタマロ石けんを知ってもらっています。
これは「試してもらえば、良さがわかる」と
いう会社の強い想いがあるから。商品に自信
があるからです。
その結果が、10年で6倍という成果になって
返ってきました。
まあ、マーケティング的には王道のやり方。
決して奇をてらったやり方でも難しい方法で
もありません。
正直、ウタマロ石けんと同等の性能を持つ石
けんは世の中にはたくさんあると思います。
しかし、それらのほとんどがウタマロ石けん
のように売れていないのは、売り方を知らな
いから。マーケティングを行っていないから
です。
売上を伸ばすのに必要なことは、いい商品を
つくることではありません。いい商品をつく
るのは最低条件。必要なのは売り方を磨くこ
とです。
そこのところくれぐれもお間違えなく。