先日、アパート販売をしている業者さんにと
っては衝撃的なニュースが飛び込んできまし
た。
それは、東京23区のアパート空室率。
なんと、過去最悪の33.68%を記録したとい
うのです。
トヨタなどが出資する不動産調査会社タスに
よると、今年3月の新築賃貸アパートの空室
率は、東京23区で30%を超え、神奈川県の
35.54%と千葉県の34.12%も過去最悪とな
りました。
アベノミクスによる異次元金融緩和と低金利
政策、さらには昨年1月に施行された改正相
続税法が重なり、投資先として新設賃貸住宅
の着工が急増したのが原因です。
要するに、2015年に実施された改正相続税法
によって、相続税がかからない基礎控除額が
大きく引き下げられたため、節税のためにア
パートを建てる人が急激に増えたのです。
その結果、アパートの建設ラッシュが起きて
需要を大きく上回る供給過多となり、空室率
を上げているのです。
昨年のアパートなどの「貸家」の着工戸数は
前年比7.1%増の38万3678戸(国交省調
べ)。今年はさらに貪欲で、4月は前年同月
比で16%増と6カ月連続の増加。これは年率
換算で43万戸ペースになります。
バブル時代の1990年は76万戸の「貸家」が
建てられていたとはいえ、今年4月の「持ち
家」が1.2%の微増というのを考えれば、現
在の貸家の増え方は“異常”。
さらに東京の4月に限れば、「持ち家」
(1,242戸)が前年同月比で7.9%の大幅減
だったにもかかわらず、「貸家」(6,177
戸)は20.1%の大幅増。もはや“バブル”と
しか言えない状態になっています。
今後については、金融機関の貸し出しは引き
続き活発になっているので、今後も空室率は
上がっていく可能性が高いと見るのが妥当で
しょう。
こうなると、後はどこでこのマネーゲームを
止めるかというのが焦点。経営者の力量が試
される時です。
ちなみに私の見解は、一刻も早くこのゲーム
から撤退すること。1秒でも早く止めること
が怪我を少なくすることだと思います。
「もうはまだなり、まだはもうなり」
有名な株式相場の格言ですが意味は、
“もう”底だろうと思って買うと、
“まだ”まだ下がる。
“まだ”上がるだろうと思って売らないでいる
と、“もう”天井で値下がりに転じる。
このことから、もう底だろう思うような時に
は、まだ下値があるかもしれないと考えてみ
るべき。逆に、まだ上がるだろうと思った時
は、もうそろそろ下がり出すかもしれないと
考えてみるべき、という戒めの格言です。
さて、あなたはアパート販売は”まだ”と見ます
か、それとも”もう”と見ますか?
今一度、アパート空室率をじっくり見てみま
しょう。危険信号が灯っていますよ。