すでに起こった未来。

 

先日、三菱UFJリサーチ&コンサルティング

から「減少する住宅着工・増加する空き家」

というレポートが発表されました。

 

真新しい発見のあるレポートではありません

が、住宅関係者なら心に刻んでおかなければ

ならない現実。

 

簡単にその内容をお伝えしましょう。

 

まずは、最近の住宅着工の動向。

現在の耐震 基準が導入された 1980年以降の

住宅着工の動きを見ると、80年代後半から

90年代中頃にかけてピークをつけた後、91年

のバブル崩壊や97年の金融危機、08年のリー

マン・ショックなどの大きなショックを機に

徐々に水準を落とし、15年度には92.1万戸と

ピーク時の半分程度の規模となっています。

 

ちなみに、今回のイギリスのEU離脱問題が

どれだけ影響を及ぼすかは今のところ未知数。

しばらくは様子見という状況でしょうから、

景気への悪影響は避けられそうにありません。

 

次は、空き家問題。

総務省「住宅・土地統計調査」によると、

空き家の数は年々増加しています。 2013年時

点で住宅ストックの総数は6063万戸、世帯数

は5210万戸ですから、居住世帯のない住宅を

空き家と定義すれば 1、853万戸もの空き家

が存在することになります。住宅ストックに

占める空き家の数を表す空き家率は14.1%に

上り、上昇傾向で推移しています。ストック

面から見ると、住宅は供給過剰の状態にある

と言えるでしょう。

 

今後の住宅需要については、

持家需要は1980年から90年代前半に団塊世

代の住宅取得が一巡したことを受けて三大都

市圏、地方圏ともに弱含みましたが、90年代

中頃になると今度は主に三大都市圏で団塊ジ

ュニア世代が住宅取得を始める20歳代後半に 

突入したことで持ち直しへ向かいました。

 

しかし、徐々に世帯数の増加が頭打ちとな

り、団塊ジュニア世代の住宅取得も一巡した

2010年以降は三大都市圏、地方圏ともに減少

傾向で推移しています。今後は世帯数そのも

のも減少に転じることから、持家需要は減少

が続く見通しです。

 

住宅着工については、

今後も住宅着工は緩やかな減少基調が続く見

通しです。人口減少や高齢化の進展によって

住宅需要が減少する一方、良質な空き家の増

加もあって中古住宅の需要は相対的に高まっ

ていくとみられることから、住宅着工は押し

下げられることになります。

 

住宅着工の長期トレンド線を見ると、2015年

度実績の92.1 万戸から、今後は年率-2%台前

半のテンポで減少し、30年度には60.5万戸と、

60万戸前後まで水準を落とすと予想されます。

 

最後に、商品別に見ると、

持家(注文住宅)の着工は2015年度実績の

28.4万戸から30年度には20.6万戸へ、

貸家は38.4万戸から16.9万戸へ、

分譲住宅は 24.7万戸から22.7万戸へ

減少すると予想されています。

 

とにかくどれを取っても住宅産業の将来は

明るくありません。

 

これが私たちの「すでに起こった未来」です。

 

では、どうしたらいいのか?

 

縮小する住宅産業に合わせた改革をすること。

それに尽きます。

 

どんなに規模が縮小しても家を欲しがる人は

います。だとすれば、その人に選ばれる会社

になればいいだけ。そのための改革を今から

はじめればいいだけです。

 

「未来を築くためにまず初めになすべきは、

 明日何をなすべきかを決めることでなく、

 明日を創るために今日何をなすべきかを

 決めることである」

        (ピーター・ドラッカー)

 

そろそろ本気で考えてみませんか?

相談に乗りますよ。