中小の建売業者さんと話しをすると、
パワービルダーに対して否定的な意見を言う
人がたくさんいます。
正直、私もパワービルダーの住宅は好きでは
ありません。しかし、パワービルダーの戦略
については別。さすがだなと感心しています。
とりわけ、凄いと思っているのがアーネスト
ワン。飯田グループの中でも最も勢いのある
会社です。
もちろん飯田グループというグループ企業の
一社ですから基本的な戦略はどこも同じ。
それにもかかわらずアーネストワンだけが驚
異的な伸びを示しているのはなぜか。簡単に
説明しましょう。
アーネストワンの平成28年3月期の売上は、
1,813億円。売上総利益は、300億円。
利益率は、16,6%にも登ります。契約戸数
は、7,035戸で飯田グループではトップ。
分譲戸数では日本一といっていいかもしれま
せん。
そんなアーネストワンですが、同社がジャス
ダック市場に上場したのは平成14年。当時の
売上高は252億円、従業員数は60人でした。
その会社が、わずか14年で売上げを約7倍に
伸ばし、業界トップの利益率を確保できるま
で急成長したのです。
その秘密は、徹底した合理化と低価格路線に
よる原価圧縮です。
用地取得のための徹底した地域密着の営業所
展開と、販売のアウトソーシングはよく知ら
れていますがこれは他のパワービルダーも同じ。
むしろ、物件の合理化、絞り込みが他のパワ
ービルダーより徹底していたのかもしれませ
ん。
アーネストワンの特徴は、建物面積です。
最近は少し広くなりましたが、平成23年頃ま
では、ほとんどの建物面積を90・91㎡に設定
していました。都内の物件であろうが、神奈
川、埼玉、千葉の物件も一様に建物面積は27
坪強に設定していたのです。
敷地面積は100㎡前後。用途地域や斜線制
限、地型、道路付けなど様々な制約の中で、
これほど徹底して90㎡を貫くのは簡単では
ありません。
大手デベロッパーなどの建物面積はほとんど
100㎡(30坪)以上ですから3坪の差をつけ
ることで、少なくとも百数十万円の販売価格
差を設けることができるからです。
ただでさえ安い建物価格に、さらに建坪を少
なくすることで、グロス価格も他の業者と比
べると圧倒的に低く設定できます。
要するに「90㎡で4LDKの一戸建て」に徹し
て販売価格を抑えたのです。そしてそれは
マンションしか買えないと思っていた人を
取り込むことを可能にしたのです。
もちろん、その考え方に是非はあります。
しかし、徹底することによってパワーを得た
のは事実。他のパワービルダーより頭一つ抜
け出すことができたのは事実です。
いかに戦略が大事か、
いかに徹底することが大事か、
アーネストワンの成長を見るたびにこれらの
重要さを実感します。