好事魔多し。

 

昨日、うちのクライアントさんの社長さんが

亡くなったという連絡を受けました。

 

去年の暮れに、胆石で入院したのがきっかけ

で精密検査をしたところ、膵臓に腫瘍がある

のが発覚。

 

それから、闘病生活がはじまったのですが、

残念な結果になりました。

 

この社長さんとは年齢が同じこともあり、

結構、仲良くさせていただきました。随分お

世話になった社長さんで、いろんな方を紹介

してくれた恩人。さすがに、昨日はちょっと

ショックでした。

 

この社長と知り合ったのは、

彼が二度目のどん底を味わっていた頃です。

 

地方都市で建売会社を経営していたのですが

順調だった会社がリーマンショックで破綻。

 

家族も全財産を失ってしまったそうですが、

なんとか再起。自分一人で細々と建売ビジネ

スを再開し、なんとか食べていけるようにな

った頃でした。

 

そんな彼でしたが、ある現場で大きなトラブ

ルに遭遇します。工務店の見積もりのミスで

擁壁の工事が必要になり費用が1,200万円も

アップしてしまったのです。

 

当然、その現場は赤字。

赤字だけだったらいいのですが赤字にしても

売れません。完成して11か月経った頃、

にっちもさっちもいかなくなった頃に、

DMを見た彼から問い合わせがあったのです。

 

ダメ元で頼んだ、と言っていましたが、

その現場はなんと依頼を受けてから2週間で

完売。年に数回しか起こらないことがたまた

ま彼の現場で起きてしまったのです。

 

それがきっかけかどうかはわかりませんが、

それからの彼はトントン拍子。あれよあれよ

という間に成功を積み重ねて行きました。

 

そうなると悪い虫が出てきます。

マークIIだった車は、BMWの最高級車に変わ

り、ゴルフ場の会員権を買いあさり、夜の街

へ行く回数も増えます。不遇だった時代を取

り戻すような生活が始まったのです。

 

もちろん、当時はそれでも会社は回っていま

した。そんな生活をしても売れ行きは落ちる

どころか安定しているから不思議です。

 

しかし、それも長くは続きませんでした。

大ブレークをした翌年の後半から徐々に売り

上げが落ちてきたのです。

 

一旦流れが変わると、それを止めるのは大変

です。気がつけば在庫の山。あれだけ稼いだ

お金はどこに行ったの?という状態で銀行の

借り入れが増えました。

 

そして、そんな大変な時期に発覚したのが、

今回の病気。

 

一人社長でなんでも自分でやってきた人で

す。当然、儲けもすべて自分のモノですが

社長がいないと回らないのがこのビジネス

モデルの最大の弱点。

 

闘病生活がはじまると今までとは同じように

いきませんから会社はストップしてしまいま

す。そうなると、もう誰も助けることができ

ません。

 

病気が発覚してからわずか10か月。

会社の資金繰りをしながらの闘病生活は決し

てラクではなかったと思います。

 

やっぱり、社長がいなければ成り立たないと

いうビジネスはダメだと痛感しました。

 

これからは、彼が残した教訓が活かせるよう

今まで以上にコンサルティング活動に精進し

たいと思います。

 

ご冥福をお祈りします。