根拠のない自信。

 

建売業者さんには、根拠のない自信を持って

いる人が多い。

 

「大丈夫だよ、売れるから」という人。

 

もちろん、その一言でそれなりの地位に登り

詰めたわけですから、彼の言っていることに

も一理あります。

 

しかし、そんな人は時々痛い思いをすること

があります。

 

私のクライアントの社長もそんな痛い思いを

経験したひとりです。

 

かれこれ2年ぐらい前、その社長さんから

建売計画の相談がありました。

 

支店のある地方都市での建売計画でしたが

「この物件、どう思いますか?」と相談され

たのです。

 

正直、行ったこともない地方都市ですから

よくわかりません。

 

急いでいるというので、数日だけ時間をもら

って調査してみました。

 

結果、私の判断では、事業化しない方がいい

という結論になりました。

 

理由は、その地方では価格が高すぎること、

そもそもの需要が少ないことです。

 

仮に売り出したとしても、完売までには相当

(1年近く)の時間がかかりそうだったから

です。

 

数日後、その旨を社長に伝えたのですが、

社長は「心配しすぎですよ」の一言。

 

「大丈夫ですよ、

 いざとなったら私が売りますから・・・」

 

そう言って、元やり手営業マンの社長によっ

て事業化は進められていきました。

 

あれから2年。

あの物件はどうなったのか?

・・・・・まだ売れ残っています。

 

完成して1年近くになるというのに

全く売れる気配はありません。

 

あれだけ威勢のいいことを言っていた社長も

「・・・なんとかなりませんかねぇ?」

と言ってくる始末。

 

「だから、言ったじゃない」

とは言いませんが、じっくり反省してほしい

とは思っています。

 

まあ、こんなパターンは建売業者さんには

よくあります。

 

とにかく仕入れ優先で、出口戦略が全くない

という会社が多い。「なんとかなるだろう」

精神が旺盛すぎます(笑)。

 

正直、今のようにレインズなどの不動産デー

タベースがあれば、売れ行きはある程度予想

できます。

 

この社長の物件も、データベースを見れば

一目瞭然。過去の成約物件も完成してから

1年近く経って売れたものばかり。

 

それも1年に1棟程度しか売れていない地域

ですから、社長の物件が売れないのも予想通

りです。

 

そんな子供でもわかるようなデータを無視し

てしまうのがイケイケの時代を過ごした建売

業者さんです。

 

まあ、データはあくまでデータですから全て

ではありません。しかし、指標になることは

確か。難しいエリアだということを正しく理

解していれば、それなりの対応を打つことも

できたはずです。

 

それをしなかった報いが今、不良在庫として

大きくのしかかっています。

 

気持ちの前にデータ。

根拠のない自信を持つ前に、データを打ち破

る戦略を練りましょう。それが不良在庫を抱

えない最善の方法です。