理屈と現実は違う。

 

理屈と現実は違います。

 

理屈の上では、売れる商品であっても

現実の世界では、なかなか売れない商品も

あります。

 

以前、ある建売業者さんが独身〜2人世帯

向けの建売住宅を開発しました。

 

間取りは、1LDK〜2LDK。

建物の面積は55〜60㎡のコンパクトな一戸建

てです。

 

企画の意図としては、男性も女性も独身が増

えていること。新築マンションなどでは、そ

んな単身世帯向けの商品が活発に売れている

からです。

 

まあ、商品企画としては筋が通っています。

 

実際に、単身世帯が増えているのは事実です

し、単身世帯向けの新築マンションが売れて

いるのも事実です。

 

当然、そんな単身世帯の人の中にはマンショ

ンより一戸建ての方がいい、と思っている人

もいることでしょう。

 

それに対して、新築一戸建て市場では、単身

世帯向けの物件はほとんどありませんから、

うまくいけば即日完売。

 

それに特化していけば、業界内でそれなりの

地位が確保できる、と皮算用をはじいたので

した。

 

で、結果はどうだったでしょう?

 

・・・大苦戦しました。

 

最終的には1年くらいかけてなんとか売りま

したが、大赤字。なかなか売れなかったので

す。

 

理由は、簡単です。

そんな商品に馴染みがなかったから。

 

今まで市場になかった商品だったため、

単身世帯という客層が開拓されていなかった

からです。

 

この商品に限らず、馴染みのない商品は

まずお客様に認知されるまでに時間がかかり

ます。

 

単身世帯向け商品=マンション

というイメージが確立されている中へ

 

単身世帯向け商品=新築一戸建て

を浸透させなければ

お客様が商品を検討する土俵に立てません。

 

そのためには、広告活動が重要になってきま

す。つまり広告宣伝費がかかるということ。

 

広告宣伝費を大量に投入して、単身世帯でマ

ンションを購入しようと思っていたお客様に

こんな選択肢もあるんですよ、ということを

伝えない限り、お客様は生まれてきません。

 

要するに、一戸建てという他の選択肢がある

ことと、その選択肢の方がマンションより魅

力的であるということをしっかり伝えない限

り、売れないということです。

 

だから、浸透するまでが大変。

売れない商品ではないのですが、

それを浸透させることが大変なんです。

だから、参入業者がいないのです。

 

新しいジャンルにチャレンジするには、お金

がかかります。お金をかけないのであれば時

間がかかります。

 

だから、お金と時間がない時には、

新しいジャンルにはチャレンジしないこと。

それを間違えると地獄が待ち受けます。

そこのところくれぐれもご注意ください。