若い才能を活用しろ!

 

ホンダの軽自動車スポーツカー「S660」をご

存知ですか。発売後数日で5200台を受注した

伝説のクルマです。

 

小さなボディに、走る楽しみを凝縮させたこ

のクルマのアイデアを出したのが、現在、本

田技術研究所四輪R&Dセンターのラージ・プ

ロジェクト・リーダー(LPL)の椋本陵氏。

 

ここまで聞くと、よくある開発物語なのです

が、ホンダという会社のすごいところは開発

プロジェクトのリーダーをこの若干22歳の若

者に任せたところです。

 

椋本氏は工業高校出身で、デザイナーの描い

た図面からクルマの立体モデルをつくるモデ

ラーの仕事に就いていました。

 

入社3年目の2010年、本田技術研究所の創設

50周年を記念した新商品提案コンペが開か

れ、そこに応募したアイデアおよそ800件の

中から見事1位を獲得。22歳という若さで新

車開発プロジェクトの責任者に就任したのです。

 

椋本氏がコンペに出した資料は、表紙も含め

たわずか4枚。1枚は共通の提案フォーマッ

ト。残りは椋本氏の思いがこもったビジュア

ル資料だけだったと言います。

 

そこで椋本氏が強調したのは技術ではなく

「ほしい、乗りたい、おもしろい」という

メッセージ。

 

「ホンダにはS2000というスポーツカーがあ

りますが、スペックも価格も高くて手が出な

い。もう少し手の届きやすいスポーツカーが

ほしいなと思っていました」

 

小さなサイズで、維持費も安い。

サーキットで走るクルマではなく、交差点を

曲がるだけでも楽しい日常ユースのスポーツ

カー。

 

バイクの世界で言えば、ホンダが販売する小

型の原動機付き自転車のスーパーカブやモン

キーの設計思想に近いもの。

 

鋭くスーとコーナーに入り、ピタッとしっか

りと路面に吸い付くように曲がり、グッと踏

ん張って、最後はガツンと立ち上がる。

 

「スー、ピタ、グッ、ガツン」のクルマを作

ろうとしたと言います。

 

それが功を奏して、大ヒット。

 

正直、私たち世代からすると購入するにはか

なり勇気のいる、ブッとんだクルマですが

売れてるんです。

 

まあ、大ヒットの原因はひと言で言えば

若干22歳の若者を抜擢したホンダという会社

の懐の深さでしょう。

 

大企業にもかかわらず、こんなことができる

のはお見事。まだまだホンダの将来は明るい

と思えるエピソードです。

 

ただ、本来はこんなエピソードが建売業界に

もゴロゴロ転がっていなければいけません。

 

ほとんどの会社が中小企業なのですから、

もっとブッとんだ企画や商品が出てきても然

るべきなのですが、現実はかなり地味。

 

若い社員のアイデアや建築家のアイデアは

無視されることが多いように思います。

 

社内にデザイナーや建築家がいないというこ

ともあるようですが、最近では2〜3万円で

若手建築家がプランを提案してくれるサイト

もあるようです。

 

そんなサービスを利用すれば斬新なアイデア

を採用することも十分可能。いい刺激になる

はずです。

 

あなたも第二のホンダを目指しましょう。

意外なところに才能のある人物が隠れている

かもしれません。お試しください。