違和感をなくせ。

 

あるクライアントさんの売出現場を視察した

時のこと。

 

その現場は、クライアントさんが初めて企画

した高額物件の現場でした。

 

デザイナーを入れ、ほぼ1年がかりで完成さ

せた会社を代表する物件。お金も時間もたっ

ぷりかけた自慢の現場です。

 

実際、物件自体はとても素晴らしく、思わず

「ほーっ」という、うなり声が出るような物

件。建売住宅とは思えない斬新な作品です。

 

しかし、玄関を入った瞬間に違和感を感じま

した。物件自体は素晴らしいのに、何かミス

マッチを感じるのです。

 

それは、スリッパでした。

 

そのエリアでも高額な価格帯に属する物件に

も関わらず、スリッパはごく普通のスリッパ。

 

3,000万円台の建売住宅の現場に置かれてい

るようなスリッパが玄関に鎮座しているのです。

 

建物自体は将来を見越して、あえて派手な外

観にはしていません。その分、インテリアに

お金をかけているので、お客様を「虜」にす

るには玄関を開けたところが肝心です。

 

その瞬間にどれだけ期待を持たせることがで

きるか、そして、その期待をリビングを見た

瞬間にどれだけ弾けさせられるかによって、

成約率は変わってきます。

 

だから、玄関ホールのしつらえは重要なので

すが、販売する仲介業者さんにはその重要性

が伝わっていないようです。

 

他にも違和感はありました。

 

チラシの紙質です。この販売業者さんの作っ

たチラシは、最も紙質の悪いもの。今どきス

ーパーのチラシでもこんな悪い紙は使わない

だろうという紙です。

 

物件自体は、販売エリアでも1、2を争う高

額物件。それにも関わらず最も安い紙でチラ

シを撒くと無神経さ。せっかくの高額物件が

チラシの紙質で台無しです。

 

その上、建築資材のサンプルが置かれていた

のですが、ダンボール箱に無造作に置かれて

いるだけ。

 

マジックで建築資材の名前が書かれているの

ですが、哀れなくらいにチープ。これではせ

っかくの建築資材も魅力的に見えません。

 

人は一貫性を大事にする動物です。

その人の話すこと、振る舞いに一貫性がある

かどうか、それが信頼できるかどうかの判断

基準です。

 

どんなに精魂込めて作りました、と言っても

言葉だけでは信用しないのが人間。精魂込め

て作ったことを、あらゆる場面でアピールし

なければその価値は伝わりません。

 

だからこそ、手を抜いてはいけないのです。

高級な物件で販売するなら、チープさは微塵

も見せてはいけません。

 

スリッパからチラシ、営業マンの服装、話し

方、お客様を迎える態度まで、全てが高級で

あることが重要。それが一貫性の証明です。

 

神は細部に宿ります。

最後の詰めを誤るとせっかくの努力が台無し

になります。ご注意ください。