「一番以外はビリと同じ」。
精密小型モーターで世界トップシェアの日本
電産の創業者、永守重信氏の言葉です。
正しくは、
「私は一番以外はビリだと思って生きてきま
した。二番でもいいなんて言う考え方は駄目
です。それから、異端者を評価しない会社も
問題です。ちょっと変わった人間が世の中に
ないものを生み出している。」
永守氏は、職業訓練大学校(のちの職業能力
開発総合大学校)を卒業後、日本の音響機器
メーカーのティアック、機械メーカーの山科
精器を経て、日本電産を創業。
社員3人とともに会社をスタートさせ、
同社を世界シェアトップ製品を持つ会社に成
長させました。また、企業再建にも秀で、20
社以上の倒産しかかった企業を買収し再建を
果たした名経営者。だからこそ、この言葉に
は重みがあります。
実際、1位と2位の差は大きく日本経済新聞が
行った企業の経常利益調査によると、
自動車業界1位のトヨタの売上は
2兆9,833億円。それに対して2位の日産は
8,622億円と3倍以上の差が出ていますし、
コンビニ業界、小売業界1位のセブン&アイ
の売上高3,501億円に対してコンビニ業界2
位のローソンは696億円と約5倍の差。
食品業界1位のJTの5,651億円に対して2位の
アサヒは1,459億と約4倍の差があります。
つまり、1位と2位の差はとてつもなく大きい
ということ。そしてそれはどの業界でも見ら
れる現象であるということがわかります。
だから、一番を目指しなさいということなの
ですが、これには異論もあります。
それは、誰もがそこを目指すべきなのか?
ということです。
ビジネスにおいて一番になることは競合他社
に対して圧倒的に有利な立場に立てます。し
かし、そのための努力は並大抵ではありません。
人もモノもお金も限られた中小零細企業にお
いてはなおさら。ニッチな分野と言えども一
番になれる人は多くはありません。
では、凡人はどうしたらいいのか?
私は二番を目指すのも悪くはないと思いま
す。二番といえどもそこそこの規模。すでに
一番が市場を築いてくれているわけですから
新たに市場を開拓する必要もありません。
その上、商品開発も一番手の改良版で済むわ
けですから簡単。人もモノもお金も限られた
中小零細企業にはうってつけです。
だからまずは、会社の経営が安定するまで二
番手を狙う。そしてある程度経営が安定した
ら一番手を狙うのがリスクのないやり方かも
しれません。ご検討ください。