耐震か制震か。

 

新築一戸建てやハウスメーカーを選ぶ上で、

お客様が重視することはたくさんあります。

 

とりわけ今、多くのお客様が気にしているこ

とは地震に対する強さ。各種のアンケートを

見てもその関心の高さが伺えます。

 

ただ、地震に対する強さと言っても尺度は

色々。耐震性の高さを重視する人もいれば、

制震や免震を重視する人もいます。

 

耐震等級3なら安心という人もいれば、耐震

等級なんて実際の地震では意味がない、とい

う人もいるのが現実。建売住宅の現場でも地

震対策はバラバラです。

 

そんな百花繚乱の地震対策ですが、

先日、富山のオスカーホームが制振システム

を設置した場合としなかった場合で、繰り返

しの地震にどの程度耐えられるのかを比較実

験しました。

 

実験の詳細は以下の通り。

まず2×4の試験体を用意。幅3640mm、奥行き

3640mm、高さ2799mmの躯体で、耐震等級3

相当の性能を確保。

 

この躯体をベースに、試験体を2種類用意しま

した。1つは、制振システムを躯体の中央に

設置したも(耐震等級3+制振システム)。

 

もう1つは、同様の躯体で制振システムの代

わりに中央部に耐力壁を取り付けたもの。

 

耐力壁は、制振システムと同等の壁倍率5倍

相当のものを取り付けました(耐震等級3+

壁倍率5倍相当の耐力壁)。

 

これで2種類の試験体は、耐震強度的にはほ

ぼ同等の状態です。

 

そして、それぞれの試験体に、繰り返しの地

震を想定し、複数の地震波を使って加振しま

した。

 

まず、人工地震動のBSL波で2回加振。

その後、JMA神戸波(南北)を複数回入力。

各加振後、躯体の状態を確認し、1回ずつ間

を開けながら実施しました。

 

実験の結果は、制振システムの有無で躯体の

強度に差が出ることが明らかになるものでした。

 

耐震等級3+制振システムの試験体は、

BSL波で加振した後にJMA神戸波で繰り返し

加振しても、躯体の強度低下は緩やかに推移

する程度。

 

JMA神戸波(100%)の3回目の加振までは、

加振終了後の構造用合板やくぎの状態も、そ

れほど大きな浮きや抜けなどはなし。層間変

形角も、31分の1ラジアン(この試験体では

層間変形量が84.6cm)と安全限界を超える

には至りませんでした。

 

一方、制振システムを搭載していない、耐震

等級3+壁倍率5倍相当の耐力壁の試験体は、

JMA神戸波(100%)1回目で大きく変化しま

した。

 

1回目に当たるJMA神戸波(100%)で加振し

た際には、試験体が大きくゆがむのが確認で

き、合板もゆがみ、バキバキという音ととも

に、くぎと合板が浮き上がる状態。もはや安

全な家とはいえなくなってしまいました。

 

要するに、耐震等級3だけの家は大きな余震

には耐えられないということ。繰り返しの余

震に耐えるためには、耐震等級3+制震シス

テムが必須だということです。

 

さて、この結果を踏まえてあなたの建売住宅

はどう改良しますか?

 

耐震のままで行くか、

耐震+制震で行くか、

じっくりお考えください。